『死体闇取引―暗躍するボディーブローカーたち』

アニー・チェイニー【著】;中谷和男【訳】早川書房
死後まもない遺体の臓器が移植に用いられたり、医学部での実習用に献体が募られたりというのはよく聞く話だが、死体にはその他にも多くの用途がある。医療機器メーカーが医者を対象に新製品の実演販売をしてみせる、骨ペーストや骨ねじの原料になる、または軍部が地雷防護服を着せてその強度を実験する…しかし、これらのすべてが遺族の合意に基づいて行なわれているわけではない。死体の需要と供給は、不法な死体の横流しや窃盗によって均衡を保っているのだ。死体をパーツに切り分けて出荷する火葬場。遺灰は適当に集められて返却される、解剖室で余った死体を闇に流して私利を得る大学関係者、死体の出場所も確認せずに遺体を医療製品に加工する組織バンク、そして彼らをつなぐ仲介業者など、死体調達のネットワークは思いのほか身近で、複雑で、陰湿だ―。気鋭のジャーナリストが、遺体を切り売りする人々を直接取材し、驚くべき死体ビジネスの実態を明かす衝撃のルポルタージュ
第1章 はげたかが死体をついばむ荒れ野;第2章 理想的な状況;第3章 道具屋;第4章 「奥さん、あなたが死んだら、すぐわたしのものになる」;第5章 死体盗掘人たち;第6章 大学をくいものにする;第7章 ボーンマシン
アニー・チェイニー:ハーパーズ・マガジン誌やマイ・ジェネレーション誌に寄稿するジャーナリスト。『死体闇取引―暗躍するボディーブローカーたち』の元になったハーパーズ誌の記事は2005年に、アメリカ・ジャーナリスト協会から優秀な特集記事に贈られる「デッドライン・クラブ賞」を受賞している。現在では雑誌の他にも、ラジオ番組などにも話題を提供している。ニューヨーク在住

死体闇取引―暗躍するボディーブローカーたち
アニー・チェイニー 中谷 和男
早川書房 (2006/07)