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携帯が水没しました。一応電源は(勝手に)入ったものの,予断を許さない状況です。
『神樹』
http://www.fukkan.com/fk/VoteDetail?no=32635
内容(「BOOK」データベースより)
中国山西省の山村で、樹齢数千年の「神樹」が突然開花した。神樹がよみがえらせた親、子、兄弟や八路軍の亡霊たちは、過去を再現し、語りはじめる。抗日村長を斬り殺した日本軍、神樹に守られた八路軍、土地改革で虐殺された地主、国家規模の“大躍進”・製鉄運動のために餓死し、あるいは生き延びた村人、文革時に失脚した村の書記、宗教結社弾圧に巻き込まれ処刑される娘…、神樹は歴史のすべてを見てきたのだ。開花の奇蹟に御利益を求め人々が押し寄せたため、共産党政府は危機感を覚え、迷信を根絶すると称し、神樹伐採に中央から戦車の大部隊を出動させる。神樹を守るため、村人は亡霊の八路軍に加勢し、戦車隊に立ち向うが…。
amazonレビューより
この物語の舞台は現代中国の農村「神樹村」である。幹の太さが直径50メートルに及ぶ神樹が花を咲かせるところから物語が始まる。花が咲いて以降、死んでいった村人たちが幽霊となって出現し、過去の権力争いやどろどろした人間模様を語り、再現させていく。社会主義革命での陰惨な流血、大飢饉におけるエピソードはあまりにも強烈であるが、実話に基づいているようである。それは近代中国の歴史に翻弄される人々の姿であろう。
やがて神樹のもとへ多くの人々が訪れ、神樹村は賑わうが、国家権力は神樹を……もう、これ以上は書かないでおこう。とにかく凄い物語なので、読んで頂きたい。
著者である鄭義は89年の民主化運動の際に、有力な助言者となり、6月4日「血の日曜日」天安門事件以降!、指名手配される。3年間の逃亡生活の後、アメリカに亡命し、「神樹」を書き上げたそうである。
広告帯には中国版「百年の孤独」とあるが、ぼくは「神樹」のほうが優れていると思う。「神樹」は構築された世界だし、登場人物の掘り下げが素晴らしい。幻想性も重厚さも劣らないし、なにより物語としての盛り上がりと緊迫感で、終盤一気に読ませてしまう。東洋人としての親しみもあるし、読みやすいのも良い (これは翻訳の藤井省三氏の功績だ)。
鄭義によれば、改革解放後の現代の中国では、経済的矛盾の為に農村での暴動が頻発しているとのこと。「神樹」の物語は、まだ終わっていないし、これから始まるのかもしれない。


『ニルスのふしぎな旅』新訳
http://home.att.ne.jp/apple/jiss/jiss.htm
講演会「スウェーデンの児童文学の大いなる遺産 〜『ニルスの ふしぎな旅』を訳して〜」
スウェーデンで愛読され続けている『ニルスのふしぎな旅』(2007年6月出版、福音館書店)の翻訳者、菱木晃子さんの講演会です。
日 時:6月21日(木) 18:00〜20:00 (17:30開場)
会 場:スウェーデン大使館オーディトリウム(東京都港区六本木1−10−3)
講 師:菱木 晃子(翻訳家・作家)
参加料:社団法人スウェーデン社会研究所(JISS)会員・スウェーデン語講座受講生、及び日瑞基金会員は無料
会員外 社会人 1,000円、学生 500円(当日支払 )
申込み:E-mail(sweden@tkm.att.ne.jp)、及びFAX(03‐3655‐1596)
※会員の有無、成人か学生か、所属を明記すること








『エロマンガ島の三人 長嶋有異色作品集』
「第126回 芥川賞」受賞、「第1回 大江健三郎賞」受賞の
話題の作家、長嶋有の最新刊!
本書は『オトナファミ』に連載された中篇小説「エロマンガ島の三人」をメインに、SF短篇、官能小説、さらに書き下ろし小説も収録した作品集です。
表題にもなっている「エロマンガ島の三人」は、ゲーム雑誌編集者の実体験をモデルに描いた作品で、三人の男たちが経験した異郷への短い旅を描いています。
'90年代の風物が散りばめられた東京と、南太平洋の島、ふたつの情景の対比も鮮やか。
スローなリズムで展開する、オトナの休日の物語です。