『イリアム』

海外SFノヴェルズ ダン・シモンズ【著】;酒井昭伸【訳】早川書房
はるか数千年もの未来、地球化された火星のオリュンポス山のふもとに住む学者ホッケンベリーは、イリアムの平原でギリシア神話の神々や英雄たちがホメーロスの『イーリアス』さながらに戦うトロイア戦争を観察していた。神々にナノテクで復活させられたホッケンベリーは、この戦争の記録をとらされていたのだ。だが、彼は思いもよらぬ使命をある女神からさずかる。地球でわずかに生き残っている人類は、仕事も学問もせず、衣食住のあらゆることを自動機械の下僕たちに任せ、享楽的な生活を送っている。この世界の仕組みに疑問をもった男ハーマンやその友人アーダとディーマンは、世界の謎をつきとめるべく旅に出た。木星の衛星エウロパに住む半生物機械モラヴェックのマーンムートは、イオのオルフらとともに、火星探検隊の一員として、火星へと向かった。地球化された火星で起こっている異常な量子擾乱の原因を調査しようというのだが…。「ハイペリオン」四部作で人気のシモンズが、ギリシア神話とSFをみごとに融合させた二部作の第一弾。ローカス賞受賞作。
ダン・シモンズ:1948年生まれ。教鞭をとるかたわら創作をはじめ、トワイライト・ゾーン誌のコンテストで一席に入選した短篇「黄泉の川が逆流する」でデビュー。処女長篇『カーリーの歌』(1985)で世界幻想文学大賞を受賞、その後もSFやホラーのほか、元私立探偵ジョー・クルツを主人公としたハードボイルド『鋼』など、精力的に作品を発表している。ヒューゴー賞ローカス賞を受賞した『ハイペリオン』(1989)にはじまる「ハイペリオン」シリーズは、英国SF協会賞・ローカス賞受賞作の『ハイペリオンの没落』(1990)と『エンディミオン』(1996)とローカス賞受賞作の『エンディミオンの覚醒』(1997)とで、四部作をなしており、多数の読者から圧倒的な支持を受けている。『イリアム』でローカス賞受賞
むっちゃ字ぃちっちゃくない? 気のせい??(;´Д`)
酒井昭伸:1956年生、1980年早稲田大学政治経済学部卒、英米文学翻訳家