『ポストモダン・バーセルミ―「小説」というものの魔法について』

三浦玲一【著】彩流社
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バーセルミの「読解不能性」について我々は何を語りうるか?『ニューヨーカー』を中心に活躍し、熱烈でカルト的な人気を誇った作家を再評価し、その実験性を現代文学のひとつの頂点と位置づける試み。アメリカ・ポストモダン小説における最も実験的な作家の作品を手がかりに、現代とポストモダニズムの交点での文学のあり方を探り、「深み」のないテクストをどのように「解釈」するのかを論じる。ジャック・ラカンミシェル・フーコージャック・デリダといったポスト構造主義者の論考と、ジャン・ボードリヤールフレドリック・ジェイムソンアントニオ・ネグリらのポストモダニズム論を踏まえた、アメリカ文学研究者によるドナルド・バーセルミ論。
1 ラカンと他者表象―言葉が主体を創るとき(自律したテクスト、身体のアレゴリー―「風船」;主体構成のジェンダー―『雪白姫』);2 フーコーと力の形態―中心、起源を持たない権力(メタフィクションポストモダン・パロディ―「ボディガードについて」;文学と精神分析―『死父』);3 デリダジェンダー脱構築を呼ぶ主体概念について(テクストの表層とジェンダ―「説明」、「芸術学校の入り口で」;ナショナリズムグローバル化、倫理―『パラダイス』)