『空獏』

北野勇作【著】早川書房
bk1/amazon.co.jp
昔々のこと。世界が古くなったので、えらい人たちは獏を創って、新しい世界を夢見てもらうことにしました。みんなは安心して獏のなかで眠りにつきました。でも、やがて獏は不安に囚われてしまったのです。自分のなかの人たちは実は死んでいるのではないか、と…まあ、そんなこんなで私は、戦いつづけているわけだ。商店街で敵を待ち伏せしたり、ヒト型戦闘機械に乗り込んだり、西瓜太郎の指揮で悪の王国に奇襲をかけたり。でも肝心の私とは誰か、まったく思い出せないのだけれどね、あの夕陽のきれいな街の風景以外は―9つの短篇と10の掌篇が織りなす、不条理で情けなく、けれどヒトに優しい戦争の話。
世界のはじまりの話;商店街で待ち伏せ;大きな船の話;溝のなかでリレー;怖い西瓜畑の話;西方浄土;大きなヒトと薄っぺらなヒトの話;お馴染みの天井;砂に埋もれたパズルの話;西瓜割り世界大会スイカップ;穴のなかの兵隊たちの話;宇宙の戦士;拾った星の話;月世界公園にて;素敵なオマケの話;夢の会社;獏のいる劇場の話;蟻の行進;天井から観ていたヤモリの話
 ホラー方面が苦手なので、久々に『クラゲ』の興奮があるのなら読んでみたいなあ。表紙が可愛い。