『「読者」の誕生―活字文化はどのようにして定着したか』

香内三郎【著】晶文社
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グーテンベルク以後、活版印刷術はヨーロッパじゅうにひろまり、本やパンフレットが大量に印刷されるようになった。だからといって、人々はすぐに本を読むようになったわけではない。「読む」という、ごくありふれた日常的な行為にも歴史がある。今日の私たちがそうであるような「読者」はいつごろ、どのようにして誕生したのだろう。イギリス17世紀、ホッブズ、ミルトン、デフォーたちの言論活動にわけいり、近代ジャーナリズムが成立し、手書きや口頭にかわって活字文化がコミュニケーションの中心となる時代をよみがえらせる。
「イコン」「イメージ」論争の歴史的意味―近代開幕期における影像と言葉;聖書の「四つの意味」とその解体―「字義通り」の読みの優位;「近代的」読み方の誕生―「読むこと」の効力測定様式;「週刊」新聞の社会的定着―定期性をもったジャーナリズムの出現;ピューリタン革命の「言説」空間―ライターの想定した読者像とその論理;「手書き」論文から「活字」の世界へ―ホッブズの二つの論争と論証の方法;クロムウェル治下における「寛容」の限界―ジェームズ・ネイラーの「ブリストル入城事件」;イギリスにおける「カズイストリー」の運命―近代ジャーナリズム成立論史序説;「仮面」の操作と「言論」主体の成立―ケース神学の世俗化と近代ジャーナリズム