『児童文学における“ふたつの世界”』

井辻朱美【監修】;ふたつの世界プロジェクト【編】(川崎)てらいんく
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このプロジェクトは、さまざまな“ふたつの世界”という視点から作品を分析することで、児童文学を理解していこうとする試みである。本論文集では、さまざまな研究テーマをもつメンバーがそれぞれに作品を取り上げ、“ふたつの世界”という切り口を共通項に論じている。私たちは、この切り口によって新しい読みの可能性が開けることを発見した。通してお読みいただければ、児童文学作品の中に実に多様な“ふたつの世界”を見出せることがわかるだろう。
“ふたつの世界”とは;英語圏の児童文学における“ふたつの世界”の変遷;幻想とノンセンスのはざまで―ウォルター・デ・ラ・メアの描いた人間たち;老女になった少女の変身が意味するもの―ダイアナ・ウィン・ジョーンズ魔法使いハウルと火の悪魔』;「えん」と「秘密」によってつくられるもうひとつの世界―伊藤遊『えんの松原』とF.H.バーネット『秘密の花園』の比較;ペネロピ・ライブリーにおける記憶と時間―『トーマス・ケンプの幽霊』を中心に;『ジョイ・ラック・クラブ』に見る母と娘のふたつの世界;アフリカ系アメリカ人作家の捉える“ふたつの世界”―ミルドレッド・テーラーとヴァジニア・ハミルトン;“ふたつの世界”の世界;“ふたつの世界”はどこへ行くのか?