『アルゲダス短編集』

アルゲダス,ホセ・マリア【著】杉山晃【訳】彩流社
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クートゥ、ぼくが大きくなったら、ドン・フロイランを殺すからな!アンデス…ふたつの文化のはざまで苦しみつづけたペルーを代表する作家が、自ら50代半ばの男の仮面をかぶった少年であると言った。そしてこれらの切ない短編を残してくれた…。アルゲダスの生い立ちは、本書におさめられたさまざまな短編にも反映されている。デビュー作であった「ワルマ・クヤイ」では、すでにふたつの文化のはざまにおかれた苦しみが吐露されている。少年時代にインディオたちの踊りの輪に入れてもらえなかった記憶は、のちのちまで尾を引くことになったし、白人の世界にもなじめなかった苛立ちも短編の末尾に悲痛な叫びのように書きつけられている。アンデスと西洋のせめぎ合いは、アルゲダス自身の内面で演じつづけられたドラマであった。
ワルマ・クヤイ―少年の恋;アコーラの村人たち;ウテフ・パンパの村人たち;ケルカタイ・パンパ;復讐;運搬人;ドニャ・カイターナ;水;小学生たち;ヤワル―フィエスタ;断崖;ワヤナイ川;ヤワル・ウイヤイ
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