『明治大正 翻訳ワンダーランド』

新潮新書 鴻巣友季子【著】新潮社
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驚愕!感嘆!唖然!恐るべし、明治大正の翻訳界。『鉄仮面』―超訳どころか荒業訳、『小公子』―名タイトル誕生秘話、『フランダースの犬』―刊行は奇跡の経緯。『復活』『人形の家』『美貌の友』『オペラの怪人』…いまも読み継がれる名作はいかにして日本語となったのか。森田思軒の苦心から黒岩涙香の荒業まで、内田魯庵の熱意から若松賎子の身体感覚まで、島村抱月の見識から佐々木邦のいたずらまで、現代の人気翻訳家が秘密のワンダーランドに特別ご招待。
近代の翻訳はこの「一字入魂」から出発する―ユゴー『探偵ユーベル』森田思軒訳(明治22年);訳文が生きるか死ぬかは会話文―バアネット『小公子』若松賎子訳(明治23〜25年);超訳どころの騒ぎではない―ボアゴベイ『正史実歴鉄仮面』黒岩涙香訳述(明治25〜26年);鴎外の陰に隠れはしたが―レルモントフ「浴泉記」小金井喜美子訳(明治25〜27年);すべては憧憬にはじまる―ゾラ『女優ナヽ』永井荷風編訳(明治36年);辛抱して読んでくれ!―トルストイ『復活』内田貢魯庵)訳(明治38年);遠く離れた日本で出世―ウイダ『フランダースの犬』日高柿軒訳述(明治41年);原作はいったいどこに…?!―アンノウンマン『いたづら小僧日記』佐々木邦訳(明治42年);肉体を翻訳する舞台―イプセン『人形の家』島村抱月訳(明治43年);童話は初版だけが本物か―「模範家庭文庫」中島孤島他訳(大正4年);絶好の売り時を逃すまじ―リットン『ポンペイ最後の日』中村詳一訳(大正12年);うっかり誤訳?意図的誤訳?―グリズマー『東への道』岩堂全智・中村剛久共訳(大正12年);発禁、伏せ字を乗り越えて―モオパッサン『美貌の友』広津和郎訳(大正13年);ノベライゼーションの草分け―ルルー原作、カーニー改作『オペラの怪人』石川俊彦訳(大正14年)

『図書館を使い倒す!―ネットではできない資料探しの「技」と「コツ」』

新潮新書 千野信浩【著】新潮社
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「ネットにはありませんでした」。この程度で調べものをしたつもりになってはいないだろうか?北朝鮮の詳細な経済事情は?非公開の行政資料を手に入れるには?地元の近代化に尽くした偉人は?GoogleやYahoo!ではけっして探せない価値ある資料が眠っているのが、実は図書館なのだ。「週刊ダイヤモンド」記者として資料探しに精通する著者ならではの、ビジネスツールである図書館を使い倒すための「技」と「コツ」。
序章 なぜ「図書館」に調べたいものがあるのか;第1章 資料は足で探せ―資料は地元に眠っている;第2章 資料探しのプロに学べ―資料は棚に眠っている;第3章 行政資料を手に入れろ―資料は役所に眠っている;第4章 消えゆく資料を探せ―資料は時間の向こうに眠っている;第5章 全国お薦め図書館ガイド;終章 図書館にクレームをつける

『ポストモダン・バーセルミ―「小説」というものの魔法について』

三浦玲一【著】彩流社
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バーセルミの「読解不能性」について我々は何を語りうるか?『ニューヨーカー』を中心に活躍し、熱烈でカルト的な人気を誇った作家を再評価し、その実験性を現代文学のひとつの頂点と位置づける試み。アメリカ・ポストモダン小説における最も実験的な作家の作品を手がかりに、現代とポストモダニズムの交点での文学のあり方を探り、「深み」のないテクストをどのように「解釈」するのかを論じる。ジャック・ラカンミシェル・フーコージャック・デリダといったポスト構造主義者の論考と、ジャン・ボードリヤールフレドリック・ジェイムソンアントニオ・ネグリらのポストモダニズム論を踏まえた、アメリカ文学研究者によるドナルド・バーセルミ論。
1 ラカンと他者表象―言葉が主体を創るとき(自律したテクスト、身体のアレゴリー―「風船」;主体構成のジェンダー―『雪白姫』);2 フーコーと力の形態―中心、起源を持たない権力(メタフィクションポストモダン・パロディ―「ボディガードについて」;文学と精神分析―『死父』);3 デリダジェンダー脱構築を呼ぶ主体概念について(テクストの表層とジェンダ―「説明」、「芸術学校の入り口で」;ナショナリズムグローバル化、倫理―『パラダイス』)