『中国古籍流通学の確立―流通する古籍・流通する文化』

アジア地域文化学叢書〈6〉 中国古籍文化研究所【編】雄山閣
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本書は、中国古籍の流通の動態を明らかにしていくことによって、地域文化の形成や発展を考えていくことである。それは、書物に書かれた内容を研究資料として用いることのみならず、物的な書物という存在自体を活きた文化の化身と捉え、それが人々の間でどのように扱われ、地域と時代の間を流通して現在に至っているのか、ということから、その書物を生み出して継承する当該の地域の文化を考えていくということでもあった。書物が今ここにある意義と価値を、それがここに至るまでの流通の歴史とその文化的背景との関わりの中に求めるのである。
第1部 流通する古籍―時代と地域(総説 中国古籍流通学の確立にむけて;古籍流通の意義―善本と蔵書史;アメリカの図書館に所蔵される宋元版漢籍の概況;書院教育における伝統学問の伝承―盧文〓、銭大〓を中心に);第2部 流通する文化―言語・文芸・宗教(写本時代の書籍の流通と地域言語;清末西学書の流通とその影響―言語文化交流との関わりから;『杜詩詳註』伝本三種;明清時代における「連作詠史楽府」―「明史楽府」を中心に ほか)