『「戦時下」のおたく』

角川書店 ササキバラ・ゴウ
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おたく文化が「戦時下」を敏感に察知し、他方で「国策」と無邪気に結びつきうるのは何故か。それは「おたく文化、もしくは、アニメ・コミックの戦時下の起源」という問題と関わっている、とぼくは考える。おたく文化領域の表現上の技法や美意識のいくつかは確実に「戦時下」に成立したものを無意識に継承している。それが結果として「戦時下」と「おたく文化」の無邪気な野合を産んでいる。―「戦争、したいんでしょ。」サブカルチャーナショナリズム、反復する歴史の波の中で、日本のまんが・アニメの現在を問う。ササキバラ・ゴウ上野俊哉榎戸洋司大澤信亮斎藤環更科修一郎中塚圭骸による評論アンソロジー
おたく文化の戦時下起源について:第1部 戦時下のおたく論(おたくのロマンティシズムと転向―「視線化する私」の暴力の行方;池上遼一右往左往;国策化する「おたく」と脱歴史化;『南回帰船』注釈ノート);第2部 戦時下のアニメ2004(『忘却の旋律』と二〇〇四年のまんが・アニメ;『忘却の旋律』序論―からっぽの概念を忘却することなく、貫く矢を放つために;インタビュー 「大人」になること、「世界」と向き合うこと;アニメと大人と老いたオタクたち;断絶された世界の前で立ちつくす「私」―新海誠雲のむこう、約束の場所』をめぐって);第3部 対談・座談会(ライトノベルをめぐる言説について;おたく・新人類・ナショナリズム;「おたく男」が目をそらしてきたもの―「萌え」と「やおい」の並行世界のゆくえ)