『ブーヘンヴァルトの“ドーナル楢”―ナチス親衛隊伍長と強制収容所』

新井田良子【著】論創社
bk1/amazon.co.jp
資料によれば、ナチス親衛隊(SS)から離脱する道は三つ。1.自殺を図る。2.正義と理想のためのドンキホーテ的戦いの末収監か死。3.前線へ行っての戦死。アウシュビィッツの極限状態を描いた『夜と霧』の中の「彼らSSの中には若干の善意の人間もいた」という記述は読んでいた。それでも、悪魔的機関親衛隊とその隊員すべてをひと括りにしていたわたしの固定観念は、少なからぬ数の自殺者とSSからの離脱者という事実によって揺さぶられた。誇り高き親衛隊員、シュナイダー伍長は何を見、何を考えたか。その心の葛藤は巨木“ドーナル楢”へと向かう。加害者の良心の苦悩を通し、ナチスの非人道性を暴く異色作。
われらが総統;「持ち分はそれなりに」;林檎の木のある家;堕ちた者たち;私物倉庫コマンド;ブーヘンヴァルトの五月;石切場にて;オーバーワイマール駅;コマンド99;ブーヘンヴァルトのドーナル楢;別れ
新井田良子:1930年東京生まれ。神奈川県川崎市在住