『エル・アレフ』

平凡社ライブラリー ホルヘ・ルイス・ボルヘス【著】;木村榮一【訳】平凡社
bk1/amazon.co.jp
ダンテ『神曲』に想を得た表題作のほか、「不死の人」「神学者」「神が書き残された言葉」などを含む、ボルヘス中期の短篇集。アルゼンチン性とヨーロッパ性が目眩く博識によって結び合わされ、円環的な時間が織りなす独自の宇宙が読者の眼前に顕れる。最良の訳者が誘う、ボルヘス的迷宮の白眉。『不死の人』新訳。
90:不死の人;死んだ男;神学者;戦士と拉致された女の物語;タデオ・イシドロ・クルスの伝記(一八二九‐一八七四);エンマ・ツンツ;アステリオーンの家;もうひとつの死;ドイツ鎮魂歌;アヴェロエスの探求;ザーヒル;神の書き残された言葉;アベンハカン・エル・ボハリー、自らの迷宮に死す;二人の王と二つの迷宮;待つ;戸口の男;エル・アレフ
ホルヘ・ルイス・ボルヘス:1899‐1986。アルゼンチンの首都ブエノスアイレスに生まれる。父方の祖母がイギリス人だったことから英語とスペイン語双方を母語として幼少期を送る。少年時代、家族とともに一時ヨーロッパに移住し、そこでフランス語、ドイツ語、ラテン語を習得する。帰国後、詩人として出発するが、その後、独自の幻想性をたたえた短篇や驚異の記憶力と該博な知識に基づく特異なエッセイを発表する。博識と奇抜な着想をもとに書かれた『伝奇集』(1944)、『エル・アレフ』(1949)、『砂の本』(1975)などの短篇集、あるいは『論議』(1932)、『続・審問』(1952)などのエッセイ集は、20世紀が残した最も重要な文学遺産である