『On the Wing―ハヤブサに託した地図のない旅』

柏艪舎文芸シリーズ テナント,アラン【著】;鳥見真生【訳】(札幌)柏艪舎;星雲社〔発売〕
bk1/amazon.co.jp
本書は、大陸を越えるハヤブサに発信機を取りつけて追跡した、著者アラン・テナントの旅の記録である。烈風吹きすさぶテキサスの砂洲島―春に北へ渡るツンドラハヤブサの中継地―から北極圏へ、ついで南下し、メキシコを経て、ベリーズ、そしてカリブ海へ。パイロットは、第二次大戦を生き抜いてきた60代の古強者ジョージ・ヴォース。がたの来たセスナ機に乗った二人は危うく難を逃れ、密入国してまで追跡を続ける。それは愛すべき不良中年たちの、苦しくも痛快な空の旅だ。何故、ハヤブサは命を賭してまで故郷を目指すのか?そのようなハヤブサを追跡するうちに、著者はいつの間にか失ってしまったもの、「目には見えない大切なもの」の存在に気づかされる―より高く、より速く、より遠くへ―人類が空に託してきた夢を言葉に紡いだ、魅惑的にして忘れがたき、珠玉の一冊。
第1部 パドレ島(仲間たち;パドレ;遙けし何処より ほか);第2部 翼広げて(蹄鉄投げ;再会;天がける ほか);第3部 メキシコ湾(制服と書類;ハリケーン;アヌキアト ほか)