『イデアの洞窟』

ソモサ,ホセ・カルロス【著】風間賢二【訳】文芸春秋
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古代ギリシアアテネ。野犬に食い殺されたとおぼしき若者の死体が発見される。だが不審を抱いた者がいた―“謎の解読者”と異名をとる男、ヘラクレス。調査に乗り出した彼の前に現われるさらなる死体。果たしてこの連続殺人の真相は…」という書物『イデアの洞窟』。その翻訳を依頼されたわたしは、物語世界を傷つけかねない頻度でちりばめられた象徴群に不審を抱く。ギリシアで「直観隠喩」と呼ばれた技法だった。だが『イデアの洞窟』のそれは過剰すぎた。やがて身辺に怪事が頻発しはじめ、わたしは何者かに監禁されて…という異形の形式が驚愕の結末へと読者を導く破格のミステリ。めくるめく謎の迷宮に「作者探し」の興趣も仕込む、イギリス推理作家協会最優秀長篇賞受賞作。
ソモサ,ホセ・カルロス:1959年キューバに生まれる。現実と虚構、夢、狂気、記憶などを題材に、マジックリアリズムの手法でミステリアスに語る。『イデアの洞窟』で、イギリス推理作家協会最優秀長篇賞受賞