『小説の黄金時代』

(叢書・ウニベルシタス) ギィ・スカルペッタ著;本多文彦訳 法政大学出版局 2003.3.1 384p 19cm(B6) \4,000(税別)
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L'AGE D'OR DU ROMAN〈Guy Scarpetta〉
現代文学の荒野に逆説的に黄金時代を現出させた11人の作家たち―ミラン・クンデラサルマン・ラシュディ大江健三郎、カルロス・フエンテスらの代表作を分析・解読しつつ、現代文学の直面する問題を世界文学の視野から鳥瞰する。
内 容 作家ラシュディ(サルマン・ラシュディ悪魔の詩』、一九八八年);技巧と真実(フィリップ・ロス背信の日々』、一九八六年);幻滅したアイロニー(ミラン・クンデラ『不滅』、一九九〇年);物語の恐慌(マリオ・バルガス・リョサ『フリア叔母さんと三文文士』、一九七七年);エクリチュールの樹(クロード・シモン『アカシア』、一九八九年);カプリチョス(フアン・ゴンティソロ『戦いの後の風景』、一九八二年);意味の四散(ダニロ・キシュ『砂時計』、一九七二年);地獄の一季節(大江健三郎万延元年のフットボール』、一九六七年);窮地に追い込まれた小説に関するとりとめのないノート(アラン・ロブ=グリエ『ロマネスク』『ふたたび現れる鏡』『アンジェリク、あるいは魅惑』『コラントゥの最後の日々』、一九八五年、一九八八年、一九九四年);フランス風ディヴェルティメント(ミラン・クンデラ『緩慢さ』、一九九五年);人形倒しゲーム(トーマス・ベルンハルト『絶滅』、一九八六年);逆説のための謝肉祭(カルロス・フェンテス『まだ生れていないクリストバル』、一九八七年)
スカルペッタ,ギィ:1946年生まれのフランスの作家。『イタリア』、『7月14日』、『抒情的な組曲』(アカデミー・フランセーズのルイ・バルトゥー賞を受賞)などの小説があり、評論として『ブレヒト、あるいは死せる兵士』、『コスモポリタニズム礼讃』、『不純』、『技巧』などの作品がある。また、ランス大学の助教授として現代文学や映画論を講義している。『ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール』誌の寄稿者、『ゲームの規則』誌の編集長をつとめるなど、文学・芸術の分野において多方面に活躍している。小説の実作者であるとともに世界の現代文学に精通し、精神分析記号論言語学、宗教学、民族学音楽学等々にわたる広汎な概念と用語を駆使して展開されるその傑出した文学論は読書界に大きな刺激を与えている
本多文彦:1937年生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程中退。埼玉大学教養学部教授。近代フランス文学・比較芸術論・ジャポニスム専攻