『夢酔独言』

読んでおきたい日本の名作 勝小吉【著】教育出版
bk1/amazon.co.jp】800
『おれほどの馬鹿な者は世の中にあんまり有るまいとおもふ。故に孫やひこのために、はなしてきかせるが、能能不法もの、馬鹿者のいましめにするがいゝぜ』勝海舟の父・勝小吉が語る破天荒な自伝。大きな文字、やさしい表記、親切な脚注付き。
気心は勤身;出生;五歳のとき;七歳・養子・凧喧嘩;八歳のとき;九歳のとき;十歳のころ・馬の稽古;十一歳のころ;十二歳のころ;十三歳のころ〔ほか〕

 両人はかれこれというゆえに、その時おれが出て、「その書き付けを見せろ。」と取り上げて見て、燭台の火へかざし、見るふりして焼いてしまったら、両人が色をかえてぐずぐずいうから、「おれがしたがかれこれいうはいかがの心得だ。そのほう両人はわけておれにこれまで刃向こうたが、格別の勘弁をしておくに不届きのやつだ。」とおどかしてやったらば大いにこわがったゆえ、「この証文は夢酔がもらっておく。」とて立って座敷へはいったら、両人は「恐れ入りました。」とて早々帰ったゆえ、百五十両は一言にてふんでしまった。なんでも人はいきおいがかんじだとおもった。

……いきおいがかんじん……。ランダムな1ページでこれだからなあ。

 オススメ!! 家族で車に乗っているときだったか、ラジオで大事な所のエピソード(イーブックで紹介されている海舟の話(必読)ではなく、小吉が一人旅に出たところで、石垣だか塀だかにぶつけて膿んではれあがるところ)を朗読されて、さっそく購入し、我が家で大評判になった。それは平凡社版だったけど、注もついていて読みやすそうだ。
 とりあえず検索してみると色んなエピソードの拾い読みができるので、気に入った人は読んでみるべし。こことか、こことか。
東洋文庫版>【bk1/amazon.co.jp