『廃墟大全』

谷川渥【編】中公文庫 中央公論新社
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戦争、災害、バブル崩壊に続くデフレ不況…。全世界に廃墟が再生産される一方で、郷愁や無常観を誘う対象として注目を集めている。無定形な時代が続く現在、文学、美術、建築、映画、写真、アニメに登場する無数の廃墟群を16人の気鋭の研究者が脱領域的に横断、徹底検証する。時空を超えて妖しい魅力を放って已まない廃墟の本質に迫った異色の評論集。
ケープ・コッドの渚で―生物と人工物の巨大廃墟を擦り抜けるネットランナーたち ソロー以後のレッカー文学史;瞼の裏の宮殿―ポール・パークの記憶の聖墓;建築の「廃墟」、人体の「廃墟」―A・タルコフスキーノスタルジア』からD・フィンチャー『セブン』へ;死せる視線―写真の廃墟解剖学;廃墟のメタモルフォーズ―パリ、サン・ジノサン墓地―レ・アールの噴水の下に潜む、あらゆる死体を食らい尽くしてきた廃墟;十八世紀ローマの廃墟をめぐる覚書―ピラネージの時代;サー・ジョン・ソーンズ・ミュージアム―廃墟趣味と断片の美学;「ザ・ピクチャレスク」としての廃墟―十八世紀英国の美意識と人工廃墟;「廃墟」とロマン主義―断片が生い育つ ティーク、ノヴァーリスに見るロマン派の廃墟のモティーフ;フリードリヒ、ブレッヒェンにみる廃墟のテーマ―その美的仮装と擬装の計略;真新しい廃墟―ノイエ・ザハリヒカイト廃墟画;ピラネージなき中国―紙上の楼閣から廃屋まで;廃墟を前にした少年―七生報国の大楠公碑と、紅衛兵の拠点「円明園」;リアルな廃墟―ウィーン、神戸;喪失の荒野『新世紀エヴァンゲリオン』―そしてアイ(ぼく)だけが残った;廃墟―鉱物と意識が触れ合う場所;廃墟総論
巽孝之小谷真理滝本誠飯沢耕太郎;小池寿子;岡田哲史森利夫;今泉文子;岡林洋;種村季弘中野美代子四方田犬彦飯島洋一永瀬唯日野啓三
 トレヴィルから出ていたものの復刊。加筆修正版。