『沖縄「戦後」ゼロ年』

生活人新書 目取真俊【著】日本放送出版協会
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沖縄戦から六十年。戦後日本の「平和」は、戦争では「本土」の「捨て石」に、その後は米軍基地の「要石」にされた沖縄の犠牲があってのもの。この沖縄差別の現実を変えない限り、沖縄の「戦後」は永遠に「ゼロ」のままだ。著者は、家族らの戦争体験をたどり、米軍による占領の歴史を見つめ直す。軍隊は住民を守らない。節目の六十年の日本人に、おびただしい犠牲者の血が証し立てた「真実」を突きつける。
第1部 沖縄戦基地問題を考える(はじめに〜「戦後六十年」を考える前提;私にとっての沖縄戦沖縄戦を小説で書くこと;基地問題);第2部 “癒しの島”幻想とナショナリズム―戦争・占領・基地・文化(アメリカの世界戦略と基地沖縄;能力主義教育の浸透と沖縄の教育運動;教科書をめぐる論点;イデオロギーとしての“癒し系”沖縄エンターテインメント;癒しの共同体・天皇制・宗教;沖縄戦の記憶と継承;沖縄文学と言葉)

『水滴』『魂込め(まぶいぐみ)』までは好きだったんだけどなあ。『群蝶の木』が、教師の鬱屈系小説で、いたたまれなくなって、それ以来読んでいない。逆にこういうノンフィクションの方が、今は読めるのかも。