『近代 日本語の思想―翻訳文体成立事情』

柳父章【著】法政大学出版局
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日本語の文体は近代以後、翻訳によってつくられた―大日本帝国憲法に象徴される翻訳悪文の系譜を分析して近代日本語文の欠陥を摘出するとともに、漱石志賀直哉、谷崎などによる新文体創出の軌跡をたどりつつ、日本語文における論理と思想の問題点を抉り出す。新たに導入された主語や三人称、句読点、文末語などの使用経緯を思想形成過程として捉え直し、日本文化論に新視角を提示する。
第1章 「主語」は翻訳でつくられた;第2章 「主語」はこうしてつくられた;第3章 小説における主語;第4章 「文」は近代につくられた;第5章 文末語もつくられた;第6章 日本語はつくられていく;第7章 「〜は…である。」文の新しい意味;第8章 日本語の論理;第9章 A+B→Cの文化論;第10章 漢字の造語力と、意味の空しさ;第11章 言葉の限界