『とせい』

今野敏【著】実業之日本社
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日村誠司が代貸を務める阿岐本組は今時珍しく任侠道をわきまえたヤクザで、地域の信頼も厚い。闇金から追われる町工場も、若手組員が知る最新のフィギュア需要で業績が上向くほどであった。その阿岐本組長が、兄弟分の組から倒産寸前の出版社経営を引き受けることになった。表街道を歩く出版事業とやらに憧れたらしい。日村は半ば呆れながら、組長ともに問題の梅之木書房に出向くが、癖のある編集者たちや、所轄のマル暴刑事など、本業以上の波乱が待ち受けていた―。